ご高齢による全身の筋力低下 ~施術記録~

大阪は西淀川区を中心に活動している、姫島訪問マッサージ院長の平本鮎紗です。

今回はもっとも該当する利用者様が多い「身体筋力低下」についてやっていきたいと思います。

最後に当院で行っているリハビリ(機能訓練)もご紹介していますので、合わせてご覧いただくと幸いです。

訪問マッサージを受けている方はほとんど「筋力低下」が認められる

痩せた筋肉のイラスト

お年を重ねると体の新陳代謝が低下し、筋肉量は自然と減少していきます。

何らかの持病やケガで動けない、動かない時間が増えやすいご高齢者の方にとって「筋力低下」は避けては通れない問題です。

訪問マッサージを利用される方は、後期高齢者(75歳以上)の割合が圧倒的に多く、ほぼ例外なくお体のどこかに筋力低下が認められます。

筋力低下は筋委縮や関節拘縮などの廃用性症候群につながっていく

憂鬱な顔で布団で過ごす男性

筋力が低下すると、筋肉は次第に伸び縮みが上手く出来なくなり、筋細胞の繊維化が進行します。

すると関節を十分に曲げ伸ばしすることが難しくなり、関節周囲の組織も徐々に固まり拘縮の原因となります。

筋力低下はいわゆる「廃用症候群」のきっかけとなりやすく、ご高齢者にとって無視出来ないお体の状態と言えます。

早い段階から予防することが大事

皆で椅子に座り楽しく運動するイラスト

「布団やベッドから起き上がりづらい」

「椅子から立ち上がるだけですぐに疲れてしまう」

「身体に力が入りづらい…」

ご利用者様から本当によく聞かれるお声です。

普段の生活に不便を感じていらっしゃる方が非常に多いため、当院では身の回りの生活動作が少しでも快適になるよう、それぞれのお体に合わせたリハビリを、マッサージと一緒にご提案しています。

東京での高齢者向け施設での身体介助や、機能訓練指導員、有名な理学療法士(PT)直伝の身体評価、リハビリ指導といった私の経験を、少しでも皆さまのお役に立てるよう努めさせていただきます。

私のリハビリ(機能訓練)のモットーは、「楽な姿勢で、無理なく楽しく」です。

寝た状態や、日常生活の動作を使って行うので安全性が高く、まずは身体を動かすことを楽しんでもらえるよう心がけています。

プログラムについては、利用者様それぞれに合わせたものを私自身がご提案し、結果は毎月報告書にまとめています。

なるべく早い段階から予防出来ることが大事なので、運動が苦手な方にも楽しんでいただけるよう日々工夫しています(^^♪

今のところ、98%くらいの方はマッサージに加え運動も行っていただけています(笑)

姫島訪問マッサージで行っているリハビリ一例

今回はA様にご協力いただけました。

ご快諾いただき、ありがとうございます<m(__)m>

A様は訪問マッサージを始めて約一か月半です。

開始当初は下肢に上手く力が入らず、布団から立ち上がる際に大きなふらつきが目立ちました。

そこで、マッサージと合わせて

「仰向けの状態での筋トレ」

「無理のない起き上がり動作、立ち上がり動作の習得」

「椅子を使った筋トレ」


を段階的に行い、生活動作の安定を図りました。

A様が実施しているプログラムを順にご紹介していきます。

①まずは両脚のストレッチから。

SLRを用いた下肢のストレッチ

普段身体を動かす機会が少ない=筋肉が伸び縮みする機会が少ないということです。

写真をよく見ると、伸ばそうとしている右脚の膝が曲がっていることがお分かりになると思います。

お声かけなどで脱力していただきながら、慎重に収縮を促し、運動の準備を行います。

②ヒップリフト(殿筋、体幹強化訓練)

見てわかると思いますが、これは結構大変です!(笑)

皆さまの体力に合わせて介助や回数で負荷は調整しています。

臀部(お尻)や体幹の筋力、バランス感覚は歩行を安定させるために必ず必要となるため、なるべく取り入れています。

※脊柱管狭窄症、圧迫骨折などの腰部に疾患がある方や、高血圧症などの急激な運動にリスクのある方には別の運動をご提案しています。

③オンエルボーオンハンド訓練(起き上がり訓練)

起き上がり訓練をしているところ

布団で寝ることが好きだというA様。

お気持ちを尊重し、なるべく今の生活を続けられるよう取り入れた訓練です。

以前までは仰向けで下肢を振り子のように使い、勢い良く起き上がられていたそうで、訴えの強かった腰部痛の大きな原因のように思えました。

両手、肘を意識的に使い、身体全体で起き上がる方法を習得してからは、腰部の痛みもかなり減ったとのことです。

起き上がり動作は人それぞれ会得のコツが異なりやすく、場合によっては手すりや椅子などを用いる場合もあります。

④お辞儀動作訓練、立位着座訓練

一枚目の写真は訓練前の物です。

よく見ると、骨盤後傾位(お尻の骨が寝ている、立っていない)のが分かると思います。

このままでは立ち上がる時に上手くお腹に力が入らず、腰の負担が増えてしまいます。

そこでお辞儀動作訓練(2枚目の写真です)による腹圧向上、下肢荷重感覚の促通を図っています。

お辞儀動作訓練を繰り返すことで、A様は自然な立ち上がりを取り戻し、立ちあがり直後のふらつきもかなり軽減するようになりました(^^♪

⑤腿上げ訓練

一緒に腿上げ訓練

最後は一緒に腿上げを行います。

まだ少しふらつきがあるので椅子を使いながらですが、訪問当初に比べるとものすごい進歩です。

最初は数回の持ち上げで疲れが出やすく、腿上げというよりは足踏みのような姿勢になっていました。

ところが一か月半の施術を経て写真のように太ももを高く上げ、40回は訓練を行えるようになりました。

奥様から見ても、「動きが前と全然違う」とのことで、毎回集中して取り組まれているA様の努力の結果が表れていることに私も嬉しく思います。

現状お体に大きな不調はありませんが、今後もバイタル値を測りながら、アクシデントを意識した筋力維持、強化を図り A様の日常生活の安定化に貢献出来ればと考えています。

最後に

今回は筋力低下についてまとめさせていただきました。

今後も利用者様の症例についてまとめ、皆さまが施術を始めるきっかけになればと考えています。

リハビリ、マッサージ両方の面で皆さまのお役に立てるよう今後とも頑張ります。

最後までお読みいただき、ありがとうございました(^^)/

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