ベッドの高さの重要性~数センチ変えた場合の起居動作の変化~

大阪市内を中心に活動している、姫島訪問マッサージの平本鮎紗です。

ベッドの高さを変えてきました

介護ベッド


義理のおばあちゃんのベッドでの起き上がり、立ち上がり方が最近つらそうとのことなので、何か出来ないかと見てまいりました。

現状の動作評価

・起き上がり…腹筋に上手く力が入らず、足の踏ん張りも効きづらい

近くのタンスの取っ手に無意識に足指を引っかけ、動作を代償している

・立ち上がり…筋力低下や加齢の影響で骨盤後傾位が目立つ

何よりもベッドの高さが低く、初動時の下肢への筋負担が多大にかかるため単独での立ち上がりが不安定となりやすい。

簡潔にまとめると、主に上記の内容が気になりました。

気づいた点

〇階段を上り下り出来るなど、最低限の筋力はしっかり維持されている。

〇運動動作そのものは上手く、オンエルボーオンハンドや立位直前に足を手前に近づけるなど複合的な動作に習熟が見られ、また残存している。

△認知症のため、動作の改善が口頭では図りづらい。


といった点からまずはベッドの高さを変更し、様子を見ようとご提案いたしました。

実際にベッドの高さを変える

ご了承をいただけたので、まずはベッドに腰かけた時にお尻の位置が膝より若干高いくらいが理想なので、定規を使って補高する高さをまず測ります。

当初はホームセンターなどで木材を買い、それを敷く予定でしたが、

ビニール紐で束ねてあった〇研の図鑑や童話集が目に止まり、強度的にいけそうなので何冊か重ねて代用することにしました。

こんな感じです。

ベッドの高さを変えたことによる変化

たったこれだけ(約8センチ)の変化で姿勢にどれだけ影響があったかというと、

・起き上がり
タンスに足指を引っかける癖は残っているが、高さに余裕が出来たため下肢の踏ん張りが効きやすくなり、全体の動作時間は短縮された→腰部への負担軽減が見込める

・立ち上がり
明確に初動動作が改善。
お尻の位置が高くなったため下肢の筋負担が減り、スムーズに立位に移行出来るようになった。

・おまけ…着座時
元々勢いよく座ることはなかったが、ベッドが高くなることで、着座時の衝撃がやわらぎ、脊柱への負担も今後軽減すると思われる。

などなど、想像以上に効果が得られました。

ベッドの高さを変えるだけで、かなりの改善が図れたと思います。

ご本人の自覚は少ないかもしれませんが、お義母さんも動作の改善を肌で感じるようで一か月たった現在も、良い動作が維持されているとのことです。

まとめ

ご家族が早めに気づけた今回は良い例で、気づくのがもう少し早かったら色々と改善できたのに…と悔やまれるケースは、実際の現場ではよくある話です。

そのため、私は○○さんが転倒した、〇〇を痛めた、などと聞くたびに、次第に全ての原因は普段の生活にある、ということを常に念頭に置くようになりました。

現在は、プライベートな空間に介入させていただく分、良い発見とご提案をしよう、と心がけて患者様に接するようにしています。

今回のように、ベッド回りの調節や補助具(杖など)のアドバイスも安全性に配慮して対応に努めていますので、今後ともよろしくお願いいたします。

2020.08.27

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